2012/09/19

レメディ:Galla-q-r. (=Querc-cyn.)

Galla-q-r.
Galla quercina rubrum


Galla-q-r ブナ科のイギリスナラ(オーク)の木にできた寄生虫、たま蜂の「虫こぶ」から作られたものです。


レメディ名の由来は
Galla (=gall、虫こぶ、没食子)
quercina rubrum (=red oak、日本語では楢ではなく「赤柏」って呼ばれているみたいです。)

また、非常に紛らわしいのですが、MacRepertoryに入っているComplete Repertoryなど、ほかのレパートリーでは時々

Querc-cyn.
という名前でも載っています。

こちらのレメディ名の場合、Quercina(柏) + Cynips (タマバチ)
原料にハチの幼虫 (卵かな?)も含まれていることがレメディ名で分かります。

こぶと言っても、樹の幹や枝にできるものを想像することが多いですが、このオークの場合、
どんぐりの代わりに(本来ならどんぐりが実る部分に)つやのあるグリーン色の、ツンツンした形の異常生長物をつけていたそうです。

イギリスのSchool of Homeopathy の Misha Norland先生のご自宅の前の道路沿いに立っているオークの樹に発生したもので、
ある年の秋、いつもならどんぐりを落とす時期に、この瘤をどんどん落としていたそうです。
Misha先生はそれをいくつか拾って、すり鉢ですりつぶして、ホメオパシー調剤薬局に送ってポテンタイズしてもらい、プルービングを行なったそうです。すりつぶした瘤は奇妙な甘い腐敗臭を放ったと書いています。

プルービングのサイトには写真も載ってます。ひとつの小枝に正常などんぐりとgallnut虫瘤が両方くっついています。

http://www.hominf.org/gall/gallfr.htm


また、Gallという言葉ですが、
「胆汁」という意味で使われたり、胆汁のように苦々しいもの、憎しみや遺恨という意味にも使います。「Gallbladder (胆汁の袋)」は濃縮した胆汁を蓄えてくれている胆嚢です。虫こぶから採れたgallも胆汁のように黄色くて、苦いのですね。

植物の虫こぶから採れたGallは染め物や皮革のなめしに使われるタンニンのもとで、関連するレメディで没食子酸のGallicum acidum (Gall-ac.) というのがあります。参考に比較してみるのも面白いかもしれません。

2012/09/10

MIND : ESCAPE - street

p. 106

Escape, attempts to:
- street; into
・gesticulating and dancing in their shirts

逃げようとする:
- 街中に逃げ出していく
・シャツ姿で身振りをしたり、踊ったりしながら : Bell. (2点)

えー(笑)なに、シャツって?
と思いましたよね。

Knerr(クネールと発音するのかな?ネール?)のレパートリーが出典として記載されてますが、ヘーリングのGuiding SymptomsやアレンのEncyclopediaに元となった一節がありました:

Insanity; they stripped themselves, and, clad only in their shirts, ran out into the streets in broad daylight, gesticulating, dancing, laughing, and uttering and doing many absurd things.
狂気;彼らは服を脱ぎ捨て、シャツだけを着た姿で白昼の街に走って出て行き、身振りをしながら、踊り、笑い、色々な馬鹿げたことを声に出したり、馬鹿げた行動をとった。


ということだそうです。
この様子では、「逃げている」ようにはあまり思えませんけれど...
それに「they、 彼ら」って、複数の人が同時にこんな行動を見せた感じですよね?これはプルービングの様子でしょうか?それとも、ベラドンナ中毒に関する記述?集団ヒステリー?

2012/07/18

レメディ:Kola

p. 95 にある「Despair (絶望)」のルブリックを見ていたとき、
「Kolaってどんなレメディ?」という話しになりました。

MIND - Dictatorial、Discontented、Discouraged、 Dream、Dullness など、ぱっと「D」ではじまるヘッド・ルブリックだけ見ても、頻繁に登場するレメディです。

軽く調べてみました:

 Kola = Kola nut コーラナッツ
アオイ科。ということは、チョコレートの親戚ですね。どちらにも神経興奮作用のあるアルカロイドTheobromine テオブロミンが多く含まれています。

かつてはあの有名な炭酸飲料のコカ・コーラにこのエキスが使われていましたが、今は入っていないようです。ちなみにコカ・コーラのコカはドラッグのコカインだったのですね。コカ・コーラが発明された頃は、コカインとコーラナッツが原料だったということです。すごっ。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%A9_%28%E6%A4%8D%E7%89%A9%29

北米の折衷医学では19世紀末頃から、ホメオパシーのレメディとしてもわりに昔からあるみたいで、Boerickeのマテリア・メディカにも載っています。

しかし、このMINDチャプターにあるルブリックスの多くは、現代のホメオパス Berndt Schuster が行なったプルービングとその後の臨床からくるみたいです。

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まずは、Boerickeから:

 「神経衰弱症。血液循環を調整・制御し、強壮剤で下痢止めとして使える。心拍リズムを制御し、利尿作用もある。弱い心臓。
飲酒癖のレメディ。食欲と消化を促進させ、飲酒の欲求を抑える。
喘息。
食事を摂らずに、また疲れも感じずに、長時間の肉体労働を続ける事ができる。」

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ところで Kola は Kola nidata という名前でも載っている事があるようです。これは Boericke の Kola と同じ種類?明らかではありませんが、同じレメディ名で記載されています。

新しくプルービングされた Kola のレポートが1999年に、ホメオパシーの機関誌『Links』に掲載されました。(プルービングは1996年。)以下、興味深いので軽く訳してみます:

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Bernd Schuster著
Homeopathic Proving of the Cola-nut
Homeopathic Links, 1999

ドラッグ・レメディのグループに属する。

ドラッグは知覚体験を強め、拡張させる目的に使われる事が多く、人間本来の知覚能力の限界を超越させ、境界線を曖昧にするものである。
カンナビスやコカ、コーラとペヨテは神聖な物質として見られ、人間と神や霊たちの世界を繋げさせるものと考えられている。

このコーラのプルービングはハーネマニアンな方法論に基づいて実施され、23名の参加者で行なわれた(1996年、ドイツ)。全能である(無限の力がある)、地球全体を肩に背負うことができる、他の人の肉体を透かして、その人の内面を見つめたり、人の思考が読み取れる、というように、まるで神のような性質や能力の感覚があった、という証言がプルービングから出てきた。これらは Delusions of grandeur (偉大さ、壮麗さ、壮大さのデリュージョン)と表現できるでしょう。

このレメディの中心には「Insatiability––決して飽くことをしらない/足るを知らない/満足・満腹にならない」という観念が見られる。『私はまるで底なしの穴』。
摂食障害(食べても満腹にならない、毒を盛られる恐怖)や躁病、活動過多、糖の代謝障害、下痢などの胃腸の障害、自信に関する問題(これはCocaにも共通)、抑うつ、不眠(疲労)、不安な夢、片頭痛、などが見られる。これまで診てきたColaの患者はほとんど、LSDやコカインなどのドラッグ依存の既往歴があったり、アルコール依存や摂食障害の既往歴が見られた。

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上に上げられているドラッグ「カンナビス、コカ、コーラ、ペヨテ」、いずれもレメディとして存在します。
カンナビス はCannabis indica / sativa、マリファナですね。
コカはそのままCocaでコカイン。
ペヨテは、Anhaloniumのことです。

2012/06/21

MIND - DELUSIONS - something else

p. 86

MIND - DELUSIONS
- something else:
・chest;something else comes from above which is pressing the:

- 別の物
・胸部;何か別の物が上からきて押さえつけている:


Sepiaが1点で入っていますね。

先ほどはAllenのEncyclopediaに載っている文章を紹介しましたが、このルブリックの元の出処はハーネマンの『慢性病論』第2部のSepiaのマテリアメディカ、1529番目の段落でした。(ひとつひとつの症状に番号がふってあります。)Samuel Hahnemann, The Chronic Diseases, Homeopathic Book Publishers版  p.1392。


Anxious dream, at night, as if he was being chased, and had to run backward,
夜、まるで追われて、後ろ向きに走らなければならないような、不安な夢を見る。

(この部分は月曜日に見たルブリック p. 83 MIND - DELUSIONS - run - backward になってますね。)

…when awakened, he imagined, that something which oppressed his chest was coming down upon him from above, 
目が覚めると、彼は何かが自分の上に降りてきて胸を圧迫していると想像、

…then crawling and stitches in the chest.
次に這う
(むずむずする)ような、縫うような感覚があった。

・・・というわけで、この症状は「上から*何かが*降りてきて胸を圧迫/押さえつけていることが分かりますね。「else 別の物」は元の記述にないし、この症状の様子をわかり難くしているんじゃないでしょうか。

また、見出しのキーワードが「something else」ですが、この症状を調べようと思った人は「何か(他の物)が」などで引きませんよね。鍵となっているのはむしろ「上から降りてきて胸を圧迫する」感覚でしょう。この症状は「above; coming down from」とか「chest; oppressing the」というルブリックにした方が見つけやすいのではないかなあ、と思ってしまいます。いかがでしょうか?

ただし、ここの次のサブルブリックは「something else(何か別の物)」という点が重要ですね:

- something else
・objects appear as if something else

- 別の物
・物が、まるで別の物に見える

2012/06/20

MIND - DELUSIONS - sinned

さっきはまごついた説明しか出来ず気になっていたのですが

p.85

MIND- DELUSIONS
- sinned; one has
・day of grace; sinned away his day of grace

"Delusions, he has sinned away his day of grace"
「デリュージョン、罪を犯して
救済の日・贖罪の日を無駄にしてしまった。」
キリスト教的なルブリックだと解説しましたね。

まず「grace」ですが、様々な美徳を表現するディープな言葉です。気品、優雅さ、洗練、潔さ、高貴さなど、全般的に「美質」と言えそうです。

(あ、そうそう。「祈り」という意味もありますね。「Say grace」は特に食前の感謝の祈りを言います。)

この美質には、情け、仁慈、慈悲、寛容、そして許しも含まれてきます。神は罪深い人類への愛情から、神の子であったイエス・キリストを罪滅ぼしのために身代わりにさせた、という話でしたね。人間は悪の道を悔い改め、神から許しを求めさえすれば、救われる。その悔い改めの日が「Day of grace:贖罪の日」なのでしょう。

つまり「Day of grace 」はキリスト教における、罪の贖罪(しょくざい・罪滅ぼし)、魂の救済が得られるかどうかが決まる、魂の審判の日であるわけです。

さっきは「猶予の日」とか言いましたが、本来ならば地獄行きのところを、あがなうチャンスを与えられた、審判の猶予ということですね。

しかし、せっかく魂を救えたかもしれない、この贖罪の日も結局罪を犯し、駄目にしまった、というのがこのデリュージョン。非常に絶望的なデリュージョンと言えそうですね。

2012/06/19

MIND - DELUSIONS - separated - senses

p. 84

MIND - DELUSIONS
- separated
・senses are separated from objects

- 分離、離(さ)れている
・感覚機能が物から離れている


このルブリックはできたら英語ももう少し分かりやすい表現に変えていただきたいですね。ここに入っているAethusa のマテリアメディカを調べると:

Loss of comprehension, a kind of stupefaction, as if there was a barrier between his organs of sense and external objects.  (Allen)


まるで感覚の器官と外界の物の間に遮断物(バリア)があるかのような、ある種の昏迷状態、理解力の喪失。(アレン)


Separate という単語は、その対象と距離が開いたような意味にとれるので、間に障害が挟まれた状態とはニュアンス的に異なりますね。

2012/06/18

MIND - DELUSIONS - seeing

p. 84

MIND - DELUSIONS
- seeing
・cannot see
 ︙head that he could not see over; something projected from :

・見えない
 ︙頭から何かが突出していて、上を見ることができない


Phel. とは Phelandrium aquaticumというセリ科の植物だそうです。「頭から何かが突出している」と書かれているのは、Phel. のマテリアメディカを読んでみると額から突き出ているものがあって、視界を遮っている様子が書かれていました。どんなことなのか、いろいろ想像してしまいますね。

2012/06/14

MIND - DELUSIONS - repulsive fantastic

p.83


MIND - Delusions
-repulsive fantastic

わかりにくいルブリックですね。

Repulsiveは現代では結構強い言葉として「嫌悪を誘うような」「ぞっとするような」という意味で使われることが多いですね。ただ、もとは「跳ね返す」という意味を持っているので注意した方がよさそうです。

このルブリックに入っているレメディは9.1では2つ:Fl-ac.とMaias-l.ですね。

このルブリックを理解するためにまず、Allen's Encyclopedia の Fluoricum acidum を見てみました。
こんな記述になっています:

Disposition when alone to repulsive fantastic imagination, especially in regard to people with whom he is connected, for example, that he must get rid of all servants, children must go out of the house, a betrothal must be broken off, a marriage must be dissolved, etc. Indifference.

独りでいるとき、特に自分に関係のある人を拒絶してしまう根拠の無い・馬鹿げた (fantastic) デリュージョンへの傾向、例えば使用人を皆解雇しなければならない、子供を家から追い出さなければならない、婚約は破談にしなければならない、結婚を解消しなければならない、など。無関心。


Fl-ac.には自身の家族への無関心や、精神錯乱的な嫌悪感が見られることさえあるようですね。

そんな訳で、辞書を引いただけではなかなか意味の読み取れないルブリックですが、

- repulsive fantastic
- 不合理な拒絶的[デリュージョン]

というのが一番意味が伝わるかな、と思います。

ところが、Maiasaura lapideaの場合(Nancy Herrickのプルービングは手元にないのですが)現代のプルービングでもあるため、repulsiveの意味は「嫌悪を誘うような」「ぞっとするような」でよさそうです。MirilliのThematic Materia Medica によればLoathing(嫌悪)というテーマの中にこのルブリックが入っています。

2012/05/28

MIND - DELUSIONS - old

p. 80
 

Delusions
- old :
・timeless, ancient feeling; having a

lac-loxod-a (アフリカ象)のレメディ、1つだけのルブリックです。
アメリカの現代のホメオパス Nancy Herrick (Roger Morrison の連れ合いでもある)方がプルービングを行なっています。

プルービングでは様々な強力なイメージが浮かび上がってきたようです:暴力、殺し、残酷さなどは、アフリカの像の状況を物語っているようにも思えたりします。他に苦しみ、ホームレス、食べ物や滋養というのがあったり、無限の時間・永遠・無窮というテーマもあがってきてました。

このルブリックの元となったプルーバーの記述です:
My son in bed with me and I get this timeless, ancient feeling. Quiet - Deep state of timelessness, present ancient state, staring out the window at the mountains. Feel free and a lot of space around me. No history, no self but self, only peace. It feels like my cured state but does not last.
息子が私と一緒にベッドにいて、私は無窮と古昔の感覚をおぼえた。静かである−−深い、時間の超越した、太古から続く状態がここにあり、窓から山の方をぼうっと眺めている。解放されて、私の周りにはスペースがいっぱいあるような感覚。過去などなく、自己もなく、ただ、平穏のみがそこにある。自分が治癒した状態のように感じるが、それは続かない。

ということは、ancientの意味としては「自分が年老いた=old」という意味にも取れますし、太古からある、時間に縛られない状態を表していることと捉えることもできますね。

Delusions
- old : 
・timeless, ancient feeling; having a 

デリュージョン
- 古い [年老いた]:
・超時的な、太古から続く感覚がある

2012/05/17

MIND - DELUSIONS - life - careering from life to

p. 71 

Delusions
- life :
・careering from life to :


 "I stood in a remote chamber at the top of a collossal building and the whole fabric beneath me was steadily growing into the air. Higher - higher - on, on forever into the lonely dome of God's infinite universe we towered ceaselessly. The years flew on; I heard the musical rush of their wings in the abyss outside me, and from cycle to cycle, from life to life I careered, a mote in eternity and space."

これはむずかしいです...

ダメ訳で許してくださいね。もっと分かりやすく直せるかたがいましたら、お願いします。

「私は巨大な建物の最上階にある遠く離れた部屋に立っていると、その構造全体は空へ着実に伸びていった。私たちは絶えず、益々高く、神の果てしない宇宙の寂しい天井に向かって際限なく昇り、そびえた。月日は飛ぶように過ぎていき、その翼が旋律のようにさっと通り過ぎるのが、外界の混沌から聞こえてきた。そして私は永遠の世と宇宙の中に漂う微塵のごとく、周期(サイクル)から次の周期へ、生涯から次の生涯へと全速力で移り変わっていった。」

これもCannabis indicaです。やはり、アレンのEncyclopediaから。ルブリックとなった「careering from life to life」は、最後の部分です。(生涯から生涯へ...)

MIND - DELUSIONS - life - symbols of life

本日の難しい〜ルブリック。
どちらも Cannabis indica が入っているルブリックですね。

出典マテリアメディかを探してみたら、やはりアレンのEncyclopedia of Pure Materia Medica に載っていました。

p.77

Delusions
- life :
・symbols of life; all past events revolve rapidly on wheels as :


All the events of his past life, even those long forgotten, and most trivial, were thrown in symbols from a rapidly-revolving wheel, each recognized as an act of his life, and each in its correct order of sequence.

「彼の人生で起きた過去のすべての出来事、長い間忘れていた事や些細でつまらない事までが、シンボル(象徴・印・記号)となって、すばやく回転している輪から投げ出されてきた(飛び出してきた)。それはひとつひとつ、彼が人生で行なってきた行為として認識されるもので、正しい順序に連続して並んでいた。」


Fさん、Yさんがおっしゃるように、まさに走馬灯みたいな感じで回っている。でも、飛び出してくるんですね。飛び出してきて、目の前で展開されていく感じでしょうか...

2012/05/07

MIND - DELUSIONS - friend

本日の不満なルブリック(笑)

p. 71
Delusions
- friend:
・never seen his friends;he had | walking;after


英語の語順に直すと、he had never seen his friends, after walking
「彼は友だちを決して見たことがなかった、歩いた後」

Stramonium ですね。

日本語のヘンさでわかると思いますが、あまりエレガントな英語とは言えません。

ハーネマンのマテリアメディカ・プラにありました:
After walking he recognizes nothing about him, takes his book and goes to school, but enters at a wrong door (after 6 hours).

After walking all objects seem to him new, even his friends as though he had never in his life seen them before.

歩いた後、自分の周囲にある物を何も認識しない、本を手に取って学校へ行くが、誤った入り口から入る ( 6時間後 )。

歩いた後、あらゆる物が新しく感じられる、彼の友人たちでさえ、まるで今までの一度も会った(見た)ことがないようである。

- 友人
・友だちを認知しない |歩いた後

と理解してよさそうですね。

2012/05/01

MIND - DELUSIONS - fire

p. 70

Delusions - fire
・home; on a distant :


句読点の付け方がよくない気がする、と話したと思いますが、やはり次のようになっているべきです。ついでに「a」も元のKentのレパのルブリックにはないので、取り除いた方がよさそうです:

・home, on; distant :

遠くにある我が家が火事である

出典はハーネマンのMateria Medica Pura。こんな記述です:

He is delirious, and cries out in his dreams that he must go home, because everything is on fire there.
彼はせん妄状態で、自分の家ですべてが炎上してしまっているので帰らねばならない、と夢の中で泣き叫ぶ。


Distantという単語はここにはないですが、今は家ではなく離れたところにいる、という状況はこの言葉に含まれているのでしょうね。

2012/04/05

MIND - DELUSIONS - air - go into the air

p. 57

DELUSIONS
- air
・ go into the air and busy himself; he must


「空中へ入って行って、忙しくしなければならないという妄想。」

あはん?なんのこっちゃ、です。

ここのルブリック、「open」という単語が抜けているようです。「open air」=外気、戸外(の空気)ってことですよね。

このルブリックはハーネマンの『慢性病論』に遡るものでした。『慢性病論』の中の、Anacardiumのあるプルーバーの様子です:

Oppression in the region of the sternum, without pain; he feels as if he could not remain in the room, but must go into the open air and be very active.
胸骨の辺りの圧迫感、痛みを伴わない;彼は室内に留まることはできず、戸外(外気の中)へ出て行って、とても活動的にしなければならないと感じた。

という訳で、本当はこんなはずですね:

DELUSIONS
- air
・ go into the **open** air and busy himself; he must


「戸外へ出て、忙しくしなければならないという妄想。」

2012/04/02

MIND - DELIRIUM - escapes in abortion


DELIRIUM : せん妄
- escapes in abortion; she:  彼女は流産において(?)逃走する(?)


Colocynthis が2点で入っていますが、
元の文献(Knerr)では"Desires to escape"という言葉になっているようです。これなら意味分かりますね。流産の時、産褥熱のとき、突然ベッドから飛び上がって、など、常に逃走したいという様子がColocynthisに見られたりするようです。

MIND - DELIRIUM - delusions, with - sees rolling live things

DELIRIUM : せん妄
- delusions, with デリュージョンとともに
・sees rolling live things: 転がっている生き物が見える


レメディはCocculus indicusですね。
Cocculus のMMを探してみました:

GibsonのStudies of Homeopathic Remediesには:
"In delirium sees 'something alive rolling around'"
「せん妄中、"何か生きている物が転がっている"のが見える」

一体どういう感じなのでしょうね。もう少し探したら、Margaret TylerのDrug Picturesにこんな記述が:
"It has cured a case of delirium at onset of menses; the patient said, 'I always see something alive, on walls, floor, chairs, or anywhere, always rolling, and will roll on me. '"
「生理開始時のせん妄のケースを治癒。患者は「いつも何かの生き物が、壁に、床に、椅子に、いたるところに見えている。それはいつも転がっていて、私の上にも転がってきます。」

Cocculusの状態というのは、例えば睡眠を取らなかったり、頑張りすぎたり、身体的にも精神的にも無理をしたことから発症しますよね。こういう幻覚?が、無理をし過ぎてしまった状態から起こるのも分かるような気が...

MIND - DELIRIUM - abandons her relatives

p.53
DELIRIUM : せん妄
- abandons her relatives 親戚を見捨てる:
Secale

ところで、Secaleって、ライ麦の麦角病の菌のレメディですが、これってノソード(ノゾ)って考えてよいのですか。

マインドの側面にも非常に深い病理を持っているSecaleは、本来信頼関係にある血のつながった人を見捨てたり、馬鹿にしたり、恐らく同時にそんな扱いを受けているように感じるという特徴を強く持っているのでしょう。
他に次のルブリックもありました。

p. 48
CONTEMPTUOUS:軽蔑的
- for relations  親類に対して

p. 131
FORSAKING : 見捨てる
- relations 親戚を

p.181
MOCKING:あざける
- relatives, at his 彼の親戚を

2012/03/01

MIND : AVERSION

今日のまとめ:
書籍版には誤植、クロスレファレンスの紛らわしい記載、古いルブリックの名残りがあり、今日はそれが集中した感じでした。

p. 27

AVERSION
- husband, to :


嫌悪
- 夫に対する

※このルブリックのクロスレファレンスを整理すると:
- men ; to [= male persons] - women (男性に対する - 女性における)
- Disgust - body - others - husband (嫌悪感 - 肉体 - 他の人の - 夫)
- Fear - men ; of [= male persons] (恐怖 - 男性に対する)
- Hatred - husband (憎しみ - 夫) 


※ここに載っている最初のレメディ Adam. (Adamas) にクンツリ・ドットがついていますが、これは間違いです。本当はついていません。

agncda : Adam.の次に載っているレメディがなぜか小さいサイズのフォントで、その後の著者の略と一続きになってしまっています。正しくは、レメディが Agn. (Agnus castus)、著者は cda (N.M. Choudhuri)

AVERSION
- men ; to (→old rubric)

※ 昔の英語でManは人間全般を指していて、例えば人類のことをMankindと言っていた(現在はHumankindとかHumanity)。そのせいで、以前のレパートリーでも「人」と「男性」どちらもこのひとつのMen のルブリックにまとめていたそうです。今日のレパートリーではふたつを分けていますが、この昔のルブリックで「男性への嫌悪」なのか、「人への嫌悪」なのか、はっきりしないふたつのレメディ(GraphitesとStannum)はこうして残したわけですね。

2012/02/28

MIND : ANXIETY - shivering, shuddering その2

〜まとめたように言っといて(笑)
もう少し突っ込んで考えてみました。ここから先は余談です。

シンセシスではどうして、わざわざ、この不自然な「最中」という表現になっているのだろう。これも何かワケがありそうな気がして。前の投稿に書いたように、何かの「最中」である時は、他の時と異なる、特徴的な状況や状態にあるということでしたね。

話があちこち飛んでしまいますが、さっき、shiver という単語の使用例として「寒さで身震いする」って挙げましたね。寒さで身震いする状況って、例えば熱を出した時の悪寒を思い浮かべますよね。

Complete Repertoryで「Anxiety - shivering, with」を引くと「Anxiety - shuddering, with」を見よ、と出ていて、「Anxiety - shuddering, with」を引くと、そこには「Anxiety - chill : during」もついでにクロスレファレンスとして見たら?って出ているんです。

Chill は、「寒気・悪寒」ですね。昔、この言葉は具体的に、発熱が進行していく3つの期のうちの、悪寒期を指していたのです。他に発熱期と発汗期がありますね。このため、レパートリーにはCHILL・FEVER・PERSPIRATIONという3つのチャプターがセットとしてまとめられているのですね。

言われた通りに、次はクロスレファレンス先の「Anxiety - chill - during 悪寒の最中の不安」を調べると(このルブリックはSynthesisとCompleteどちらにもあります)、そこには Completeの「Anxiety - shuddering, with」に入っているレメディたちや、Synthesis 9.1の「Anxiety - shivering; during 」「Anxiety - shuddering, with」2つのルブリックのレメディたちが、ほぼ全て入っていました。そういえば、悪寒で震える時、ガクガクだったり、ブルブルだったりしますよね。

〜レパートライズをするときは、実際の症状に最も近いルブリックを探すようにしますよね。
けれど、時には、見つけた最も近いルブリックはとても小さくて、あまり役に立たなかったりします。そこで他にも似ているルブリックスを探して、近いルブリックスを複数組み合わせてレパートライズをします。

レパートリーは常に進化の途上にあるものだから、不完全なツールです。レパートライズには想像力を使う必要もあったりします。
例えば、身震いと不安があるなら、「Anxiety - shuddering, shivering」の親類みたいな悪寒のルブリック「Anxiety - chill」に入っているレメディも、参考に一通り眺めてみるという、しなやかなアプローチもアリなのかなあ、と思いました。

2012/02/27

MIND : ANXIETY - shivering, shuddering その1

P. 24

MIND - ANXIETY (不安)

- shivering; during (ブルブルと身震いしている;その間、その最中)

- shuddering, with (ガクガクする身震いを伴なう)

この2つのルブリックの
「震えている間」と「震えを伴う」、
during と with の違いがよくわからない、

というご質問がありました。


最初に、この2つ性質の違う身震いについては、 shivering 「ブルブル」、shuddering 「ガクガク」で何となく分かると思います。勉強会の最中に解説したように、この2つの単語の使用例としてすぐに思い浮かぶのは
Shivering from cold 「寒さで身震いする」
Shuddering from fear 「恐怖でおののく」


少し逸れてしまいました。問題は、身震いしている間と、身震いを伴うのはどういう違いがあるのか、ということですね。

まず、これ、勉強会の最中にまたここを間違えてお伝えしたと思います。よく間違えるのですが、「震えている最中の不安」ではなく、「不安の最中の震え」です。以下がこの間違いの言い訳(笑)

「- shivering; during」と、間にセミコロン「;」がありますね。もしこれが「震えている間の不安」だったら、セミコロンではなく、カンマ「 , 」が入ります。例として、同じページの少し上にあるルブリックを参照してください:

ANXIETY
- rocking, during


これは、「揺らされている最中の不安」になります。
とっても細かい点なのですが、この句読点がルブリックの語順や意味を変えてしまうのです。


では「不安の最中の身震い」と「身震いを伴う不安」の違いについて。これを考えるには、まずルブリックの意味を理解したいと思いました。
「身震いを伴う不安」って、わりとすんなり理解できますが、「不安の最中の身震い」というのは日本語でも英語でも、少し不自然な表現ですね?なんで「最中」って言うの?と思ってしまいます。
「During〜 (〜の最中)」という表現は、その「〜の状態・状況」に、期間、持続時間、始まりや終わりなどの境目があったり、もしくはそれは明らかに前後の状態・状況と異なる特徴的なものであることを示すように思います。「During menses 生理中」、「During stool 排便中」、「During headache 頭痛の最中」など。

だけど通常、パニック障害などの不安発作は別として、「不安の状態」は、始まりや終わりなどの境界も曖昧ですし、前後とはっきり区別できるものとして捉えたりしませんよね。

シンセシス・レパートリー1冊だけではどうしても分からないこともあるので、三角測量的なアプローチで、他のレパートリーを開いて、問題のルブリックに対応するルブリックを探します。他のレパートリーという別の角度から、同じ(あるいは類似する)ルブリックを検討することで、意味をもっと立体的に理解できるんです。また、どんな変遷を辿って、元の症状から現在のルブリックの表現に至ったのか、分かることがあります。

そこで、このルブリックを、MacRepertory 搭載の Complete Repertory で探してみました。やはりレパートリーによって、違うのですね。

Completeに「Anxiety - shuddering, with ガクガクする身震いを伴なう」こちらは同じルブリックが見つかりました。
「Anxiety - shivering; during 」は見当たりません。代わりに「Anxiety - shivering, with ブルブルする身震いを伴う」というルブリックは載っていますが、レメディはなく、前述の「shuddering, with」を見るように、となっているだけです。この「shuddering, with」に記載されているレメディは、Synthesis の「shuddering, with」と「shivering; during」の2つのルブリックに入っているレメディを(ほぼ)全部合わせたような内容です。


これを見て「そうか、要するに with と during は同じ意味で考えてよいのね」と解釈するのも、アリだと思いました。状況を想像してみても、不安を感じている最中に震えるのと、不安の気持ちがあって震えもあって、というのと、同じですよね。レパートライズするとき、その身震いの質にこだわらないのであれば、この2つのルブリックを組み合わせて使うのがよいかもしれませんね。


一応、Mさん、以上が私が考えたことです。はっきりした結論は出せませんが、少なくともこの「不安があって、身震いしている」状況であれば「伴う」のも「その最中に」もあまり違いはないのかな、と。でも、もしかすると他のルブリックでは、重要な差があるのかもしれません。そんなルブリックに出くわしたら、また一緒に考えましょうね。

2012/01/24

Synthesis全般:ページ下の略語解・右側のページ

Synthesis 9.1書籍版 ページ下の略語解

右側のページの略語解について。



[ip stj2]:awaits confirmation | ip srj5•:either more recent or lesser known author | ip h1*:additional authors

まず、「ip」(Ipecac)はレメディ名の記載例。そのうしろの、略語の説明です。
レメディ名の後の「stj2」などのイニシャルは、「このレメディにはこの症状がある」と専門誌で発表したり、マテリアメディカに書いたりしたホメオパスの名前と出典名を短縮したものです。Synthesis 9.1書籍版でしたら、巻末付録の p.60から始る「List of Author Abbreviations」でその名前と書名を確認できます。


[ip stj2]:awaits confirmation 
     確認待ち


まだ十分に確認されていない、仮説に基づく情報は、このように [ 大括弧 ] に入れて記載されています。いわゆる「クラシカル」な手法でプルービングがされていないレメディや、まだ臨床例が少ないレメディの場合、シンセシスでは「仮説的情報」として扱われます。

例えばここの「stj2」は、周期表で有名なヤン・ショルテンと彼の著書 Homeopathy and the Elements の英語版を指しています。

ある元素はその周期表の位置で、その特性をある程度予測できるのと同じように、レメディになった際の特性も予測できるのでは、とショルテンは提案していますよね。Homeopathy and the Elements のレメディの多くはまだプルービングがされていません。すなわち仮説に基づいて、レパートリーに載せられているのですね。


ip srj5•:either more recent or lesser known author 
     最近の、もしくはあまり知られていない著者


こちらも上の例と似ていますね。最近の著者が加えた最近の情報であるため、古典を典拠とした情報とは区別できるよう、黒点をつけています。もっと大きな黒い点の Künzli dot と間違えないようにしてください。

ホメオパシーは常に成長し続けていますね。ホメオパシーの現場では毎年、興味深い新しいレメディのプルービングが行われていますし、昔からあるレメディでも、びっくりするほど21世紀に有効な、新たな側面が発見されて、より深い理解が生まれたりします。こうした新しい情報が実際にホメオパシーの利用者の役に立つためには、レパートリーに組み込まなければなりません。

しかし、ハーネマンの時代から200年以上使われてきたレメディと比較すると、新しいレメディや新しい情報の信頼性はどうしても低いですね。クラシシスト(厳格なクラシカル主義の人)はこのようなレメディや情報は使わなかったりします。初心者の私にとっても、それが新しい情報なのか、長い年月を経たずっしりと信頼の置ける情報なのかを区別できるのは、やっぱりありがたいかな。

ここの例の「srj5•」は、ジェレミー・シェアと、彼が主宰する Dynamis School で行なわれたプルービングをまとめた本 Dynamic Provings Vol. 1 ですよね。ジェレミー・シェアは、プルービングの方法論を、現代に実践可能な形に系統だてて復活させたホメオパス、と言ってらよいでしょうか。


ip h1*:additional authors
    この他にも著者あり


「h1」の h はハーネマン、1 は Materia Medica Pura のことです。ここにアステリスク * が付いていますが、ハーネマンの他の歴代ホメオパスからも、この内容は承認されていますよ、という意味。典拠の正しい、信頼性の高い情報、ということになりますね。

2012/01/23

Synthesis 全般:ページ下の記号解・左側のページ

Synthesis 9.1書籍版 ページ下の記号解

左側のページにはこんな記号解がありますね。本文の中で使われている記号の説明です。



▽ extensions | ○ localizations | ● Künzli dot | ↓ remedy copied from similar subrubric


▽ extensions 
  症状が〜に達する/〜へ延びる/〜へ拡がる「どこそこへ」

○ localizations
  症状が起こる位置、部位、器官、組織や系。「どこ」

● Künzli dot  
  「クンツリ・ドット」


ヨスト・クンツリ・フォン・フィンメルスベルグはスイス人の医師ホメオパスでした (1915〜1992)。ケントのレパートリーの基本構造と内容をベースにして、それまで統合されていなかった(抜けていた)H.C.アレン、T.F.アレン、ボリキ(ベリケ)、ボジェー、ボゥニングハウゼン、バーネット、クラーク、ゲルンズィ、ヘリング、クネール、ナッシュ、プルフォード、そしてケントとハーネマンのマテリアメディカの内容を丁寧に追加・統合してレパートリーを再編集。その結果が Kent's Repertorium Generale ですね。また、長年の臨床で繰り返し確認してきた症状やレメディに、この「ヨスト・クンツリの点」をつけたんです。これがついているルブリックやレメディは信頼性が高いとされています。

あ、ちなみにこの Künzli dot を、もう一方の、もっと小さな黒点と混同しないようにご注意ください。まったく別の意味を持っているんです。この次の、右側のページの記号解についての投稿を参照くださいね。

↓ remedy copied from similar subrubric 類似するサブルブリックから転写

もともとは、ヘッドルブリックの方には入っていなかったけれど、その下のサブルブリックだけに入っていたレメディを、昇格させてヘッドルブリックにも加えたことを示しています。このレメディはそのサブルブリックの狭義での適用よりもっと広い、全般的・全身的な働きが期待できるのではないか、という考えがここにはあります。

2012/01/19

GENERALS : VACCINATION その2

もう一つ。

GENERALS - VACCINATION ; ailments after :
- prophylaxis

ワクチン接種;その後に発症:
- 予防

このサブルブリックの「予防」は、何を予防しているのか、わかりにくいですね。
一見、「予防のワクチンを接種したあとに発症」と深く考えずに読んでしまうと疑問を持たないかもしれないけれど…

それとも、
「Ailments from vaccination ワクチン接種による悪い影響を予防するためのレメディ」
という意味なのかしら。

RADAR(ver.10)を見たら、そう、この後の方の意味らしいです。
書籍版にはないのですが、次のように追加で書いてありました:

GENERALS - VACCINATION ; ailments after :
- prophylaxis (to prevent this condition)

ワクチン接種;その後に発症:
- 予防(この状態・症状を防ぐため)

GENERALS : VACCINATION その1

p. 2063

GENERALS - VACCINATION ; ailments after :
- smallpox ; for
- variola ; for

ワクチン接種;その後に発症:
- 天然痘の


このsmallpoxとvariolaのふたつのサブルブリック、どちらも天然痘を意味します。なぜこのように別けたのか、謎です。どなたかわかりましたら教えてくださいね。

ところで、MacRepertoryの中のComplete Repertory 2010でこれに対応するルブリックを探してみたら、smallpoxとvariola2つがひとつのルブリックに組合わさっていました:

GENERALITIES : VACCINATION
- after, ailments from
・small-pox, variola


でも、入っているレメディが、微妙に違うんですね。
Synthesis には
- Malandrinum, Thuja, Vaccininum, Variolinum
Complete 2010 には
- Malandrinum, Sarracenia purpurea, Thuja, Variolinum

Sarracenia purpurea (Sarr.) はSarraceniaceae、瓶子草科(へいしそう科)の食虫植物。
Vaccininum (Vac.) は種痘をポテンタイズしたノソード(ノゾ)。Vaccinotoxinumと書かれていることがありますが、同じものだそうです。

ThujaとSarracenia以外はノソードですね。

2012/01/18

GENERALS : TWITCHING

p. 2061

GENERALS - TWITCHING
- electricity, as from :
・motion; from

ピクつき、引きつり
- 電気からのような:
・動き、動作から

動くことで、まるで電流が走ったような攣縮が起こる、と訳したと思います。

ここに入っているレメディはColchicumひとつですね。出典はMargaret TylerのHomeopathic Drug Picturesという本。このマテリアメディカを調べるとこういう記述でした:

A curious symptom, touch and motion bring on a painful sensation in the body as of electric vibrations…
奇妙な症状、接触と動きが電気による振動のような痛い感覚を引き起こす…

Phatakのマテリアメディカにもこの記述が:

Shock as from electricity through one half of the body; < motion.
電気のようなショックが半身を走る;動きで悪化。

2012/01/13

GENERALS : SYCOSIS

Sycosisと淋病について

p. 2052
GENERALS - SYCOSIS

複雑な話で、しつこいようですが(笑)ハーネマンのマヤズムの概念を考える手がかりにもなると思うので、昨日の話を少しまとめて、捕捉させてくださいね。

Sycosisのことを[淋病マヤズム]と訳されているのをよく聞きますね。それは違う!と主張する現代のホメオパスが多くいます。Sycosisは、今で言うGonorrhea(淋病)とは直接なんの関係もない病気だと言われたりするのです。恐らくSycosis、およびGonorrheaという単語の歴史的な変遷がこの混乱の原因なのではないかな、と思います。

まず、SycosisとGonorrheaの語源ですが:
Syco ← sukon (=fig イチジク)+ osis (= 病気や病態を示す語尾)
Gono ← gonos (=種、生殖器)+ rrhea ← rhoia (=流出、排出)

ハーネマンは、「慢性病論」でSycosisのことを figwart disease とも呼んでいます。(fig = イチジク、wart = イボ)
イチジク状のコンジロームと、性器から排出される炎症性の分泌物を特徴とする病気、とハーネマンは説明しています。この文章で、その分泌物をgonorrheaと呼んでいますが、病名のGonorrhea (=淋病)を指しているのではなく、当時のgonorrheaの意味(すなわち性器からの排出物)として使用していたと思えるんですね。

ではSycosisはなに?ってことになりますが、「慢性病論」にあるSycosisの描写から、ヒト乳頭腫ウィルス(HPV)の感染による尖圭コンジロームで、そこに2型の単純ヘルペスも同時感染でみられることもある、と言われています。

…このような突出物は最初は性器に出現し、必ずではないが通常、尿道からのgonorrhea(分泌)を伴う。これは性交渉を通じて感染してから数日間から数週間後、ときには何週間も後になって現れる。稀に乾いたイボのように現れることもあるが、より多くの場合、それは軟らかい海綿状で、特有の悪臭のある液を分泌し (それはまるで甘いニシン漬けの漬汁のようである)、出血しやすく、鶏のとさか(肉阜)やカリフラワーのような形状である。男性では、亀頭や包皮の表面や下に出現するが、女性では外陰の周囲や外陰そのものに生じ、その後腫脹し、しばしば非常にたくさんの数で覆われることになる。
(雑な訳で許してくださいね。サミュエル・ハーネマン「慢性病論[サイコシス]」より)

となると、MedorrhinumにしてもSycosisのノソード(ノゾ)なんかじゃないってことになりますよね。ややこしくなってきました...
上のことを言葉通り受けとめると、信頼されている多くのホメオパスが間違っている、ということになってしまいますね。だって、ケントの「哲学講義」にも、クラークのマテリアメディカにも、サンカランにも、「Sycosis=淋病」として説かれていますから。

しかし、本当にSycosisと淋病は関係ないでしょうか。ホメオパシーは(西洋医学的)病名や診断を参考にしながらも、それに導かれるものではありませんので、あるいはこんな議論はどうでもよいのかも知れません。目の前の現象を見ればよいのですから。だけど、興味深い病の歴史ですし、性病に限らず、今日までの病の進化について考える面白いきっかけにもなるような気がします。それに、これをご紹介したかったのは、もし今後HPVのクライアントのケースに出会ったとき、このGENERALS - Sycosisのルブリックを参照できるなあ、というちゃんとした、実際的な理由もあって(笑)


全て英語ですが、以下のリンク参照:

http://similibus.org/chronicmiasms7

http://dialecticalohmeopathy.wordpress.com/2011/11/29/sycosis-is-it-miasm-of-gonorrhoea-or-human-papilloma-virus-or-a-mixed-miasm-that-confused-hahnemann/

http://www.otherhealth.com/homeopathy-list-discussion/7383-sycosis-common-gonorrhea-1-a.html

2012/01/12

GENERALS : TEARING OUT of something

p.2053

GENERALS - TEARING OUT of something ; sensation of
なにかから、ちぎって引っこ抜く感覚

直訳だとこんな感じ?
Tearingというのは一般的には(紙、布などを)やぶる、引き裂くことを意味します。たぶん、勢いよくちぎりとるように引っこ抜くのかな、と思います。

しかしここの "of something" [なにかから]って曖昧過ぎ。(笑)いったい何?と思いますよね?

レパートリーの他のところにも Tearing と out「勢いよくちぎる、裂く」と「抜く・外に向かって」の単語の組み合わせで探してみたら、関係ありそうなのがありました:
 
p. 721
TEETH : PAIN :
- jerking pain :
・torn out; as if :
 ︙nerves in teeth would be torn out; as if :
 ︙teeth would be torn out ; as if :

歯:痛み:
- ぐいっと引くような痛み:
・まるでちぎりとられるような:
 ︙まるで歯の神経が引きちぎって抜かれたような
 ︙まるで歯が引きちぎって抜かれたような

これなら分かりますね。この例なら、「なにかから」というのが「口・歯茎」などと考えられますね。同じような理解でよいのかなと思います。

ちなみにSynthesis 9.1 書籍版では、GENERALS - TEARING OUT と TEETH - PAIN - jerking pain 両方のルブリックに入っているレメディは8コもありますね。