2012/01/13

GENERALS : SYCOSIS

Sycosisと淋病について

p. 2052
GENERALS - SYCOSIS

複雑な話で、しつこいようですが(笑)ハーネマンのマヤズムの概念を考える手がかりにもなると思うので、昨日の話を少しまとめて、捕捉させてくださいね。

Sycosisのことを[淋病マヤズム]と訳されているのをよく聞きますね。それは違う!と主張する現代のホメオパスが多くいます。Sycosisは、今で言うGonorrhea(淋病)とは直接なんの関係もない病気だと言われたりするのです。恐らくSycosis、およびGonorrheaという単語の歴史的な変遷がこの混乱の原因なのではないかな、と思います。

まず、SycosisとGonorrheaの語源ですが:
Syco ← sukon (=fig イチジク)+ osis (= 病気や病態を示す語尾)
Gono ← gonos (=種、生殖器)+ rrhea ← rhoia (=流出、排出)

ハーネマンは、「慢性病論」でSycosisのことを figwart disease とも呼んでいます。(fig = イチジク、wart = イボ)
イチジク状のコンジロームと、性器から排出される炎症性の分泌物を特徴とする病気、とハーネマンは説明しています。この文章で、その分泌物をgonorrheaと呼んでいますが、病名のGonorrhea (=淋病)を指しているのではなく、当時のgonorrheaの意味(すなわち性器からの排出物)として使用していたと思えるんですね。

ではSycosisはなに?ってことになりますが、「慢性病論」にあるSycosisの描写から、ヒト乳頭腫ウィルス(HPV)の感染による尖圭コンジロームで、そこに2型の単純ヘルペスも同時感染でみられることもある、と言われています。

…このような突出物は最初は性器に出現し、必ずではないが通常、尿道からのgonorrhea(分泌)を伴う。これは性交渉を通じて感染してから数日間から数週間後、ときには何週間も後になって現れる。稀に乾いたイボのように現れることもあるが、より多くの場合、それは軟らかい海綿状で、特有の悪臭のある液を分泌し (それはまるで甘いニシン漬けの漬汁のようである)、出血しやすく、鶏のとさか(肉阜)やカリフラワーのような形状である。男性では、亀頭や包皮の表面や下に出現するが、女性では外陰の周囲や外陰そのものに生じ、その後腫脹し、しばしば非常にたくさんの数で覆われることになる。
(雑な訳で許してくださいね。サミュエル・ハーネマン「慢性病論[サイコシス]」より)

となると、MedorrhinumにしてもSycosisのノソード(ノゾ)なんかじゃないってことになりますよね。ややこしくなってきました...
上のことを言葉通り受けとめると、信頼されている多くのホメオパスが間違っている、ということになってしまいますね。だって、ケントの「哲学講義」にも、クラークのマテリアメディカにも、サンカランにも、「Sycosis=淋病」として説かれていますから。

しかし、本当にSycosisと淋病は関係ないでしょうか。ホメオパシーは(西洋医学的)病名や診断を参考にしながらも、それに導かれるものではありませんので、あるいはこんな議論はどうでもよいのかも知れません。目の前の現象を見ればよいのですから。だけど、興味深い病の歴史ですし、性病に限らず、今日までの病の進化について考える面白いきっかけにもなるような気がします。それに、これをご紹介したかったのは、もし今後HPVのクライアントのケースに出会ったとき、このGENERALS - Sycosisのルブリックを参照できるなあ、というちゃんとした、実際的な理由もあって(笑)


全て英語ですが、以下のリンク参照:

http://similibus.org/chronicmiasms7

http://dialecticalohmeopathy.wordpress.com/2011/11/29/sycosis-is-it-miasm-of-gonorrhoea-or-human-papilloma-virus-or-a-mixed-miasm-that-confused-hahnemann/

http://www.otherhealth.com/homeopathy-list-discussion/7383-sycosis-common-gonorrhea-1-a.html

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