2012/06/21

MIND - DELUSIONS - something else

p. 86

MIND - DELUSIONS
- something else:
・chest;something else comes from above which is pressing the:

- 別の物
・胸部;何か別の物が上からきて押さえつけている:


Sepiaが1点で入っていますね。

先ほどはAllenのEncyclopediaに載っている文章を紹介しましたが、このルブリックの元の出処はハーネマンの『慢性病論』第2部のSepiaのマテリアメディカ、1529番目の段落でした。(ひとつひとつの症状に番号がふってあります。)Samuel Hahnemann, The Chronic Diseases, Homeopathic Book Publishers版  p.1392。


Anxious dream, at night, as if he was being chased, and had to run backward,
夜、まるで追われて、後ろ向きに走らなければならないような、不安な夢を見る。

(この部分は月曜日に見たルブリック p. 83 MIND - DELUSIONS - run - backward になってますね。)

…when awakened, he imagined, that something which oppressed his chest was coming down upon him from above, 
目が覚めると、彼は何かが自分の上に降りてきて胸を圧迫していると想像、

…then crawling and stitches in the chest.
次に這う
(むずむずする)ような、縫うような感覚があった。

・・・というわけで、この症状は「上から*何かが*降りてきて胸を圧迫/押さえつけていることが分かりますね。「else 別の物」は元の記述にないし、この症状の様子をわかり難くしているんじゃないでしょうか。

また、見出しのキーワードが「something else」ですが、この症状を調べようと思った人は「何か(他の物)が」などで引きませんよね。鍵となっているのはむしろ「上から降りてきて胸を圧迫する」感覚でしょう。この症状は「above; coming down from」とか「chest; oppressing the」というルブリックにした方が見つけやすいのではないかなあ、と思ってしまいます。いかがでしょうか?

ただし、ここの次のサブルブリックは「something else(何か別の物)」という点が重要ですね:

- something else
・objects appear as if something else

- 別の物
・物が、まるで別の物に見える

2012/06/20

MIND - DELUSIONS - sinned

さっきはまごついた説明しか出来ず気になっていたのですが

p.85

MIND- DELUSIONS
- sinned; one has
・day of grace; sinned away his day of grace

"Delusions, he has sinned away his day of grace"
「デリュージョン、罪を犯して
救済の日・贖罪の日を無駄にしてしまった。」
キリスト教的なルブリックだと解説しましたね。

まず「grace」ですが、様々な美徳を表現するディープな言葉です。気品、優雅さ、洗練、潔さ、高貴さなど、全般的に「美質」と言えそうです。

(あ、そうそう。「祈り」という意味もありますね。「Say grace」は特に食前の感謝の祈りを言います。)

この美質には、情け、仁慈、慈悲、寛容、そして許しも含まれてきます。神は罪深い人類への愛情から、神の子であったイエス・キリストを罪滅ぼしのために身代わりにさせた、という話でしたね。人間は悪の道を悔い改め、神から許しを求めさえすれば、救われる。その悔い改めの日が「Day of grace:贖罪の日」なのでしょう。

つまり「Day of grace 」はキリスト教における、罪の贖罪(しょくざい・罪滅ぼし)、魂の救済が得られるかどうかが決まる、魂の審判の日であるわけです。

さっきは「猶予の日」とか言いましたが、本来ならば地獄行きのところを、あがなうチャンスを与えられた、審判の猶予ということですね。

しかし、せっかく魂を救えたかもしれない、この贖罪の日も結局罪を犯し、駄目にしまった、というのがこのデリュージョン。非常に絶望的なデリュージョンと言えそうですね。

2012/06/19

MIND - DELUSIONS - separated - senses

p. 84

MIND - DELUSIONS
- separated
・senses are separated from objects

- 分離、離(さ)れている
・感覚機能が物から離れている


このルブリックはできたら英語ももう少し分かりやすい表現に変えていただきたいですね。ここに入っているAethusa のマテリアメディカを調べると:

Loss of comprehension, a kind of stupefaction, as if there was a barrier between his organs of sense and external objects.  (Allen)


まるで感覚の器官と外界の物の間に遮断物(バリア)があるかのような、ある種の昏迷状態、理解力の喪失。(アレン)


Separate という単語は、その対象と距離が開いたような意味にとれるので、間に障害が挟まれた状態とはニュアンス的に異なりますね。

2012/06/18

MIND - DELUSIONS - seeing

p. 84

MIND - DELUSIONS
- seeing
・cannot see
 ︙head that he could not see over; something projected from :

・見えない
 ︙頭から何かが突出していて、上を見ることができない


Phel. とは Phelandrium aquaticumというセリ科の植物だそうです。「頭から何かが突出している」と書かれているのは、Phel. のマテリアメディカを読んでみると額から突き出ているものがあって、視界を遮っている様子が書かれていました。どんなことなのか、いろいろ想像してしまいますね。

2012/06/14

MIND - DELUSIONS - repulsive fantastic

p.83


MIND - Delusions
-repulsive fantastic

わかりにくいルブリックですね。

Repulsiveは現代では結構強い言葉として「嫌悪を誘うような」「ぞっとするような」という意味で使われることが多いですね。ただ、もとは「跳ね返す」という意味を持っているので注意した方がよさそうです。

このルブリックに入っているレメディは9.1では2つ:Fl-ac.とMaias-l.ですね。

このルブリックを理解するためにまず、Allen's Encyclopedia の Fluoricum acidum を見てみました。
こんな記述になっています:

Disposition when alone to repulsive fantastic imagination, especially in regard to people with whom he is connected, for example, that he must get rid of all servants, children must go out of the house, a betrothal must be broken off, a marriage must be dissolved, etc. Indifference.

独りでいるとき、特に自分に関係のある人を拒絶してしまう根拠の無い・馬鹿げた (fantastic) デリュージョンへの傾向、例えば使用人を皆解雇しなければならない、子供を家から追い出さなければならない、婚約は破談にしなければならない、結婚を解消しなければならない、など。無関心。


Fl-ac.には自身の家族への無関心や、精神錯乱的な嫌悪感が見られることさえあるようですね。

そんな訳で、辞書を引いただけではなかなか意味の読み取れないルブリックですが、

- repulsive fantastic
- 不合理な拒絶的[デリュージョン]

というのが一番意味が伝わるかな、と思います。

ところが、Maiasaura lapideaの場合(Nancy Herrickのプルービングは手元にないのですが)現代のプルービングでもあるため、repulsiveの意味は「嫌悪を誘うような」「ぞっとするような」でよさそうです。MirilliのThematic Materia Medica によればLoathing(嫌悪)というテーマの中にこのルブリックが入っています。