2012/07/18

レメディ:Kola

p. 95 にある「Despair (絶望)」のルブリックを見ていたとき、
「Kolaってどんなレメディ?」という話しになりました。

MIND - Dictatorial、Discontented、Discouraged、 Dream、Dullness など、ぱっと「D」ではじまるヘッド・ルブリックだけ見ても、頻繁に登場するレメディです。

軽く調べてみました:

 Kola = Kola nut コーラナッツ
アオイ科。ということは、チョコレートの親戚ですね。どちらにも神経興奮作用のあるアルカロイドTheobromine テオブロミンが多く含まれています。

かつてはあの有名な炭酸飲料のコカ・コーラにこのエキスが使われていましたが、今は入っていないようです。ちなみにコカ・コーラのコカはドラッグのコカインだったのですね。コカ・コーラが発明された頃は、コカインとコーラナッツが原料だったということです。すごっ。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%A9_%28%E6%A4%8D%E7%89%A9%29

北米の折衷医学では19世紀末頃から、ホメオパシーのレメディとしてもわりに昔からあるみたいで、Boerickeのマテリア・メディカにも載っています。

しかし、このMINDチャプターにあるルブリックスの多くは、現代のホメオパス Berndt Schuster が行なったプルービングとその後の臨床からくるみたいです。

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まずは、Boerickeから:

 「神経衰弱症。血液循環を調整・制御し、強壮剤で下痢止めとして使える。心拍リズムを制御し、利尿作用もある。弱い心臓。
飲酒癖のレメディ。食欲と消化を促進させ、飲酒の欲求を抑える。
喘息。
食事を摂らずに、また疲れも感じずに、長時間の肉体労働を続ける事ができる。」

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ところで Kola は Kola nidata という名前でも載っている事があるようです。これは Boericke の Kola と同じ種類?明らかではありませんが、同じレメディ名で記載されています。

新しくプルービングされた Kola のレポートが1999年に、ホメオパシーの機関誌『Links』に掲載されました。(プルービングは1996年。)以下、興味深いので軽く訳してみます:

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Bernd Schuster著
Homeopathic Proving of the Cola-nut
Homeopathic Links, 1999

ドラッグ・レメディのグループに属する。

ドラッグは知覚体験を強め、拡張させる目的に使われる事が多く、人間本来の知覚能力の限界を超越させ、境界線を曖昧にするものである。
カンナビスやコカ、コーラとペヨテは神聖な物質として見られ、人間と神や霊たちの世界を繋げさせるものと考えられている。

このコーラのプルービングはハーネマニアンな方法論に基づいて実施され、23名の参加者で行なわれた(1996年、ドイツ)。全能である(無限の力がある)、地球全体を肩に背負うことができる、他の人の肉体を透かして、その人の内面を見つめたり、人の思考が読み取れる、というように、まるで神のような性質や能力の感覚があった、という証言がプルービングから出てきた。これらは Delusions of grandeur (偉大さ、壮麗さ、壮大さのデリュージョン)と表現できるでしょう。

このレメディの中心には「Insatiability––決して飽くことをしらない/足るを知らない/満足・満腹にならない」という観念が見られる。『私はまるで底なしの穴』。
摂食障害(食べても満腹にならない、毒を盛られる恐怖)や躁病、活動過多、糖の代謝障害、下痢などの胃腸の障害、自信に関する問題(これはCocaにも共通)、抑うつ、不眠(疲労)、不安な夢、片頭痛、などが見られる。これまで診てきたColaの患者はほとんど、LSDやコカインなどのドラッグ依存の既往歴があったり、アルコール依存や摂食障害の既往歴が見られた。

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上に上げられているドラッグ「カンナビス、コカ、コーラ、ペヨテ」、いずれもレメディとして存在します。
カンナビス はCannabis indica / sativa、マリファナですね。
コカはそのままCocaでコカイン。
ペヨテは、Anhaloniumのことです。